久しぶりに見る幼馴染は、すっかり印象が変わってしまっていた。どうしてそんなにも悲しい表情を浮かべるのだ。みずみずしく柔らかかった表情を、どこに忘れた?




04;再会 (手塚)




「久しぶりだな」
「そうね」


とは、が両親の事故を聞きフランスへ発った時に空港で会った以来だ。約8ヶ月。ノースリーブの白いワンピースから伸びる腕は細い。最後に会ったときよりも大分彼女は痩せ、昔一緒に遊んだころの彼女の明るい面影が微塵も残っていないことに胸が痛んだ。



「国光、見ないうちにまた背が伸びたね。大人っぽくなってて、一瞬誰か分からなかったくらい」
「お前は、痩せたな。何となく小さくなった気がする」
「そんなことない、国光が大きくなっただけよ」


は手元のスプーンで冷めた紅茶を所在無くかきまぜた。
そんな力なく微笑むな。ふと目を離した隙にどこかへ消えてしまいそうなぐらい、とても儚い印象を受けた。

俺の家の隣に、の父親の実家がある。の父親は海外公演などで単身赴任が多く、と弟のは母親とともにその家に住んでいた。が小学校5年の時に一家でフランスに引っ越すまでは、仲良く3人で遊んだものだ。3人でテニスもしたし、秘密基地を作ったこともある。
が高校にあがるとき、一家でまた日本に戻ってきたが、氷帝高等部に通うということであまり会う機会がなくなっていた。は今、その父親の実家に下宿して青学に通っている。


は元気でいるぞ。毎日部活にも出て、テニスとバイオリンに追われるような生活らしい」
「そう。よかった。国光は?」
「俺はいつもどおりだ」
「いつもどおりって言われても…留学とかしないの?」
「話はきてるが、卒業してからのつもりでいる」
「ふうん」
「中学の時からメンバーも変わらず、テニスしてるだけだ。また部長になった」
「不二くんだっけ、彼もまだテニスしてる?」
「ああ」


鞄から手帳を取り出し、一枚の写真をの前に置いた。この間の大会で優勝した時の写真だ。

「国光、いい顔してる」
「皆には仏頂面といわれたんだが」
「そんなことないよ。羨ましい」

「お前こそどうなんだ。生活には慣れたか」
「ぼちぼちって感じかな。榊さんが助けてくれてる。学校でも少しずつ会話が増えてきた」
「そうか…ピアノはどうだ」


は困ったように苦笑いを浮かべる。

「まだなの。ほんとに自分が弱くて、情けない」



は心から笑えてるだろうかと悲しくなった。同い年で、同じ高校生で、なぜはこんなに苦しまなければならないのだろう。



「無理だけはするなよ。時間はいくらでもあるんだから」


その後、しっかり食事を摂れよとか、実家にもたまには連絡入れてやれよ、とか少し話をして店を出た。送ると言ったが、少し買い物をしていきたいのということで店の前で別れることにした。俺は、遠ざかっていくの背中から目を離すことができなかった。暗くなりかけた景色にも混じることはない。人は過去には戻れないという実感が頭の中に渦巻いている。




たとえどんな人混みに紛れたって君を見つける